琵琶豆知識

■目次   琵琶の種類    琵琶の歴史    薩摩琵琶について

1.琵琶の種類

■楽琵琶
 雅楽で用いる琵琶。もっとも起源が古く、奈良時代にまでさかのぼる。現在、雅楽のなかでは旋律楽器としてではなく、和音や単音を弾奏して拍節表示をするリズム楽器として位置づけられている。
 楽器は5種類の琵琶の中で最も大きく、奏者は楽器を水平に構え、弦の上を押さえて弾奏する。
■盲僧琵琶
 盲目の僧侶が『地神経(じしんきよう)』などの経文を琵琶伴奏で唱えるもので、楽琵琶と同時か遅くとも9世紀には成立し、当時は天台宗の仏教儀式に用いられ、主として九州で栄えた。現在、筑前盲僧琵琶、薩摩盲僧琵琶の二大系統がある。
 楽器は携帯の便のため小形で、奏者は楽器をやや斜めに立てて構え、柱と柱の間を押さえて弾奏する。
■平家琵琶
 平曲、つまり『平家物語』を語る音楽の伴奏楽器。平曲は室町時代に全盛期を迎え、江戸時代に前田流(江戸)と波多野流(京都)に分裂した。江戸幕府によって能と同じく式楽として保護され、三味線の流行にも駆逐されることなく、明治時代まで存続し、今日も名古屋、仙台などに奏者が残っている。
 楽器はやや大形で、奏者は楽器をほぼ水平に構え、柱の上を押さえて弾奏する。
■薩摩琵琶
 室町時代末期に薩摩盲僧琵琶から派生した琵琶で、今日、正派、錦心流、錦琵琶、鶴派など多くの流派がある。薩摩島津藩の島津忠良が、武士の道徳教育の目的で薩摩盲僧淵脇寿長院に琵琶歌を作曲させたのが始まりで、江戸時代末期に名手池田甚兵衛が今日の正派様式を確立した。明治維新後、東京を中心に全国に広まり、男性的な楽器としてもてはやされた。明治後期、東京の永田錦心が都会的趣味の錦心流を開き、分派。以後、本来の薩摩琵琶を正派とよぶ。さらに昭和初年、錦心流から水藤錦穣が錦琵琶を考案し、1980年代にはやはり錦心流から鶴田錦史が鶴派を開いた。
 正派と錦心流の琵琶はやや大ぶりで、奏者は楽器を立てて構え、柱と柱の間を押さえてたたくように激しく弾奏。男性奏者が多い。錦琵琶は、薩摩琵琶と筑前琵琶を融合したもので、曲調面からも両者の折衷といえ、奏者は女性が多い。鶴派琵琶は、曲折した柱、撥での擦奏など、楽器機構・奏法に斬新な工夫を加えている。
■筑前琵琶
 明治維新後の当道座廃止によって衰微した筑前盲僧琵琶の伝統を基に薩摩琵琶、三味線音楽の要素を取り入れて、明治20年代に北九州で創始された。橘智定、鶴崎賢定、吉田竹子らによって始められ、とくに上京して活躍した橘旭翁の尽力で明治後期から昭和初めにかけて盛行し、薩摩琵琶と人気を二分するに至った。
 楽器は薩摩琵琶よりやや小さく、曲調も全体的に女性的である。しかし、大正時代に薩摩琵琶の影響で考案された五弦琵琶の曲には勇壮な男性的曲調のものもみられる。奏者にはいまなお女性が多い。

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