壇ノ浦
小林正樹監督の映画・怪談(1964)の第三話「耳なし芳一」のために作曲され、歌詞はこの映画のシナリオを書いた水木洋子。源氏の猛追によって壇之浦に逃れた平家が、戦いに敗れ幼い帝を抱いて入水して果てる悲しい物語。鶴田錦史の代表作の一つである。
シーズンズ(四季)
「体面し交叉する四人によって演じられる」作品と記されていて、不確定的な図形楽譜とダイアグラフから音・声・身ぶりを演じ、幻想的な音空間をつくりあげていく詩的作品である。
1970年、大阪万博博覧会の現代音楽祭において初演された。
翹
本来、琵琶の独創曲は、ほとんどが語り物が主で、楽器は伴奏の形を取る。
この「翹」は従来の形を破り琵琶の新しい方向性を探るため作曲された。
奉葉誼
琵琶と笙と弦楽四重奏によるこの曲は、電子メディアでない作業として二十数年ぶりだが、作曲過程におけるコンピューティングメディアソースは変わりない。
「奉葉誼(ほうようぎ)」とは、造語。誼とは道であり、よしみ、したしみ。そして情誼であり、親しみをもって交遊に至る道である。葉とは、緑であり生命である。緑葉を笙と弦楽に託し、時を捧げる導師が琵琶である。作曲は浦尾画三氏。
行
鯉沼廣行が作曲家・伴谷晃二に依頼し実現した曲。横笛と琵琶との二重奏の編成で、笛は能管と一本調子という最低音篠笛。
「人間の過去世に於ける情念を実現した」という“行”は鯉沼廣行と田中之雄の競演で100回以上の演奏を行っている。
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