一灯を持って一隅を照らすことにて他者を生かし、自己をも生かすことが出来ぬものかと思いながら清浄光寺(通称遊行寺)の黒門をくぐり参道を登って本堂のそばの巨樹の前にたたずんだ。そして、北条時宗や一遍さんの時代の人々の生活のことなどに思いをめぐらせていると、樹齢六百年とも七百年とも言われる巨大な古樹の物凄さに気持ちが同化して、ゆったりとした気分になっていった。そこで「桃・栗三年、柿八年。達磨九年、ゆずの香りは十八年」と繰り返しとなえながら、横笛と琵琶の魅力を知り尽くした鯉沼廣行氏と田中之雄氏の共同作曲作品「横笛と琵琶のための 奏」を皆様と一緒に聴けぬものかと思いを深め、両氏の横笛と琵琶の演奏会を『樹下の賦』と名付け企画いたしました。尚、今回は横笛奏者の大野利可さんが共演して下さいます。そして随筆かの大貫昭彦氏が琵琶歌「遊行一遍」を作詞して下さいました。
企画構成 岡 完保 |